今回は、第二回目の学生主体の形式での開催となりました。この新しい形式では、参加者が講師によって厳選された論文を事前に読み、理解したこと・疑問点等をチームでまとめプレゼンテーションします。その後、講師よりその場で直接フィードバックをいただくことで、研究の内容理解や実力UPに繋げ、続く講師や聴講者との双方向性のあるディスカッションによって幅広い交流を行います。
2025年3月11日、Pasteur English Immersion Club (PEIC) は、フランス・パリのパスツール研究所で、発生生物学および幹細胞生物学のセンター長としてご活躍されていたDr. Shahragim Tajbakhshをゲストスピーカーとしてお迎えしました。Tajbakhsh先生は、再生医療や筋疾患治療への応用に向けた幹細胞研究を専門にされており、本イベントの開催にあたり、”移植後の筋幹細胞におけるトランスクリプトームおよびエピゲノムの多様性と可塑性”というタイトルの論文を選んでくださいました。今回は五十井美花さん(東京科学大学)、高橋真衣さん(鳥取大学)、吉田萌さん(三重大学)の3名が発表者として参加し、Tajbakhsh先生に厳選いただいた論文について理解したことや疑問点等を発表していただきました。
グループディスカッションでは、外眼筋由来の筋幹細胞(筋肉の再生を担う細胞)が、四肢筋由来の筋幹細胞よりも高い再生能力を持つことや、その分子的なメカニズムとして遺伝子エンハンサーの DNA メチル化パターンとどのように関連しているかについて学びました。また、外眼筋由来の筋幹細胞を四肢筋に移植すると、移植先の環境に応じて四肢様の分子的特徴を獲得することなど、今回の研究論文の大枠をしっかりと理解できたようです。研究経験の少ない学生さんにとっては難易度の高い論文でしたが、研究の背景や内容を細部まで理解しようと熱心に取り組んでくださり、大変素晴らしいプレゼンテーション+Q&Aでした!ありがとうございました!
聴講者の皆さまも、学生さんのプレゼンテーションを聞いて、新しい学びや良い刺激を受けられたことを願っております!
以下、今回発表者として参加してくださった方々からのコメントです!
● 五十井美花
“PEICを通してグループで研究論文を発表したことは、とても有意義な経験でした。論文の内容を深く理解する過程で、批判的思考力が高まったと感じています。仲間とのディスカッションを通じて、研究の限界を見つけ出し、改善の可能性を分析し、今後の研究の方向性についても探求することができました。さらに、Tajbakhsh先生からのフィードバックや、研究者としてのキャリアに関する貴重なお考えをご共有くださったことで、研究への興味がさらに強まりました。”
● 高橋真衣
“トピックは、発生生物学など、私の専門分野に関連していました。学校で幹細胞について理論的な観点から深く学んでいましたが、実際に論文を読むと内容はかなり難しく感じました。幸いなことに、素晴らしいチームメイトが二人いて、丁寧にアドバイスをしてくれたおかげで、科学論文を読む力が向上したと実感しています。これまでに東京医科大学で神経変性疾患に関する研究を行ってきました。2年後にはアメリカで分子生物学の博士課程に進学する予定です。PEICで発表をするのは今回が初めてでしたが、今後もこのセッションに参加し、さまざまな研究者と交流を続けていきたいと思っています。”
● 吉田萌
“今回は2度目のPEICでのプレゼンテーションとなりましたが、論文の内容は前回よりも専門性が高く、また全て学生で行ったことでとても苦戦しました。しかし、お互いに協力し合い、論文の読解を進めることで徐々に理解が深まり、良いプレゼンテーションを作れたと思います。次回もぜひ参加したいです。ありがとうございました。”
最後に、ゲストスピーカーとして今回ご登壇くださったTajbakhsh先生に、心より感謝申し上げます。お忙しいところ、貴重なお時間を割いてくださりありがとうございました。Tajbakhsh先生のご研究について詳しく知りたい方や、ご質問のある方は、contact@pasteur.jpまでお気軽にご連絡ください。
Pasteur English Immersion Club (PEIC) では、日本の若手研究者が将来国際的に活躍するために必要な英語力や論理的思考力を向上させることを目的とした定期的な勉強会を開催しています。興味のある方は、こちらの情報をご確認の上、お気軽にお問い合わせください。