2024年12月5日、Pasteur English Immersion Club (PEIC) は、フランスのパスツール研究所でMathematical Modelling of Infectious Diseases Unitの室長としてご活躍されているDr. Simon Cauchemezをゲストスピーカーとしてお迎えしました。Dr. Cauchemezは、数学的モデリングを用いた感染症動態の理解と公衆衛生介入の評価に関する講演を行い、特にフランスにおけるRSV(呼吸器合胞体ウイルス)気管支炎による入院の削減におけるモノクローナル抗体治療の影響について詳しく解説してくださいました。
Dr. Cauchemezは、セッションの冒頭で感染症モデルの基本原理を紹介され、感染率、免疫、介入効果がどのように相互作用するかをシミュレーションするための区分モデルの重要性を強調されました。また、効果的なモデリングには入院記録、血清疫学調査、人々の行動や移動データといった多様な情報源の統合が不可欠であることを指摘されました。
セッションの後半では、フランスで行われたRSVモノクローナル抗体治療キャンペーンに関する最新の研究成果が共有されました。本研究では、特に生後0~2か月の乳児における入院が大幅に減少したことが明らかになりました。この治療介入の有効性は約73%と推定され、約6,000件の入院が回避されたとのことです。また、Dr. Cauchemezは、仮定の変更に対する研究結果の堅牢性を確保するために感度分析の重要性についても強調されました。
セッションの締めくくりでは、Dr. Cauchemezのキャリアパスについてのお話がありました。数学と経済学から疫学の分野に進んだ経緯をお話してくださり、臨床医、ウイルス学者、公衆衛生専門家、社会学者などとの連携の重要性について述べていただきました。セッションの参加者は、グローバルな健康問題に取り組むための学際的研究の課題とやりがいについても学びました。
今回のセッションでご登壇くださったDr. Cauchemezに、心より感謝申し上げます。Dr. Cauchemezの研究について詳しく知りたい方や、今後のPEICセッションにご参加を希望される方は、contact@pasteur.jpまでお気軽にご連絡ください。
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